footballhack: スローインの受け方

2014年3月2日

スローインの受け方

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サッカーのセットプレーの中で最も頭を悩ませるのがスローインです。手で投げるんだから簡単だろうという論法はまったく通用せず、コーナーやFKと比べて軽視されがちで、しかも頻度も高く得失点に絡みやすいです。特に受け方がなっていないとトランジションを発生させてしまい無駄走りが多くなってしまいます。

そこで今回はスローインの受け方について基本の考え方を共有することにしましょう。

お品書き
  • 投げ方で誘導する
  • インサイド
  • 足裏
  • 腹トラ
  • NG
  • すねコン
  • 懐を使う
  • 受け手の神通力




  投げ方で誘導する


スローインの投げ方というエントリで紹介したとおり、スローインの基本的な投げ方は2種類あります。足元に落とすか、ショートバウンドを使うかです。足元に落とす場合、インサイドでダイレ落としをしてスロワーに返すか、足裏で止めてドリブルに移行する方法があります。ショートバウンドの場合、腹トラか腿トラがあります。このように受け手の選択肢は投げられるボールに依って限られてくることを頭にいれるべきです。

その上で、前にも言ったとおり、スローインの成否は受け手の神通力に依存することを考えるべきでしょう。大体2:8で受け手の力量に責任が発生します。もちろん投げ方をミスらなければという前提ですが。だから、まずは受け手を一番に考えて投げるべきです。当たり前ですが、これは重要で、受け手が成功させやすいプレーパターンに誘導するように、スロワーは投げなきゃダメです。だから、投げ方と受け方をセットにしてセオリー化して練習しておくべきなのです。

もちろん、選手の個性でディティールは変わってきますが、ここではもっとも普遍的なセオリーを抜き出して議論してみます。では次から具体的な受け方を説明します



  足裏トラップ


まずいちばん簡単なので始めに練習しましょう。小学生低学年から身につけるべきでしょう。
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これにはコツがあって、足裏を引くようにして逆回転をかけると足元に収まって奪われにくくなります。また、この方法でターンも可能になります。まずはじめに初心者に教えて、ここからボールを大切にする気持ちやドリブルへの移行、ボールを扱う楽しさを伝えてください。

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足を引く足裏トラップは5年生くらいまでに出来るといいですね。高校生でもできない人はできないんでこれ。
下手な人や初心者は足を突き出してしまうため、ボールを前方に弾いてしまいます。すると、相手に寄せられる隙を生むので好ましくないです。
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いろんな方向に行けるように最終的には練習しましょう。横とかね。


  インサイド


インサイドはキックでスロワーにリターンするパターンと、トラップするパターンを見合いにすると良いです。

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これが出来るとかなり幅が広がります。戦術的に。ドリブルだけじゃなくてパスの選択肢を得るという意味で、小学校4年生くらいまでに出来るようにしたいですね。

ここからは上級編で、インサイドトラップの奥深さについて見てみましょう。

ファーストタッチのコツとトラップ上達法というエントリで紹介したとおり、インサイドトラップは最も敵を欺きやすく、応用範囲が広いテクニックです。スローインのレシーブでもこれは同じです。

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まずは前後に見合いを掛けられるように練習しましょう。前はできても後ろはなかなか思い浮かばないと思います。チャレンジしてみてください。意外性があるので。

次に左右に分かれます。

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これも同一姿勢から左右に行けるといいです。ターンできるようになると展開力がまし、相手の守備網をこじ開けられる選手になります。挑戦してください。

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インサイドは奥が深いのと意外と難しいので教える時は注意が必要です。


  腹トラ


腹は大事です。個人的には足裏の次に腹トラを初心者に教えるべきだと思ってます。なぜならこれにより体のどの高さでもトラップができるようになることと、ボールへの恐怖心をなくすことができるからです。

腹トラの詳しい説明は以前のエントリを見て下さいね。→ショートバウンドの処理、腹トラ、モモトラの巻

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これをチームで共有できると狭いところやマークが厳しい相手にでも確実につなげるようになります。スローからワントラップまではノーミスでクリアできますが、その先、パスやドリブルが成功するかは受け手の力量次第です。でもまずはスロー、グラウンダーに収めるまでの行程をミスなくできるようにチームでセオリーを共有するのが良いのではないでしょうか?

うまい選手はこんなこともできます。

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腹トラで左右に止め分けです。これはレベルがかなり高いんで高校生の課題かな


アザール腹トラ
上のアザールがお手本です。ウマ過ぎでしょ。

  NG


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NG集は胸、腿、速球でしたね。なんでか。

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胸は後ろに敵を背負った状態でやると、確実にトラップが大きくなるからやめたほうがいいです。押された反動でクッションが利用できなくなるのです。

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ももはとてもよいテクニックなんですが、いかんせん難しい。使いこなせるとツーランクくらい上に行けますが、使いこなすのが難しいテクニックなので割愛します。出来るとかなりかっこいいんで挑戦してみてください。

速球は受けづらいのでなしです。


  すねコン

スローインを受けるとき、意図的なのか偶然なのか、脛コンを使うことが多くなります。すねコンについては右のエントリで→すねコントロール、略してすねコン


  懐を使う



スローインのレシーブは懐を深く使わないとつなげません。敵のマークが厳しいからです。もちろん、クイックでやってダイレ落としから逆サイへ一気に展開できればいいですが、そんなキック力を兼ね揃えたチームはアマチュアレベルでは少ないでしょう。

ですから、一人ひとりが懐を育てる意識を持って、懐を深く使い、ボールを確実にキープできる力をつけることが重要です。ここで懐について語ると長くなりすぎるので、2パターンだけ教えます。

まずはオーバーというプレー。オーバーとはスローされたボールを触れずに流してそのままターンする方法です。

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一般的ですが、うまくやるには、しっかりと足元で受けられるテクニックを付けることがかんようです。それがないとオーバーのフェイントにはならないからです。ですから、基本の3パターン、足裏、インサイド、腹トラをマスターしてから取り組みましょう。特に小学生年代ではオーバーを多用することで、短期的にはたくさんの成功体験を積むことができます。ぶっちゃけ足の早い子に投げてオーバーさせれば4年生くらいまではぶち抜きが可能だからです。

しかし、年齢を重ねてフィジカルレベルが均衡してくるとそれが通用しなくなります。足元で受ける技術を疎かにしてきたため、懐が育たなかったからです。

懐を育てるとは、足元の技術を確かなものにし、見合いの概念を身につけることを言います。また、自分の姿勢をコントロールして相手からのボールの見え方を想像し駆け引きすることを言います。抽象的な表現になりましたが、スローインからのオーバーでは、投げ方と隠し方が大事になるということです。速球を投げたらオーバーした後ボールに追い付きませんし、ボールを隠せなければ、フェイントが効いてきません。このへんは今後詳しくやろうと思います。

もう一つ腹トラからの懐の使い方があります。ので紹介します。

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今後詳しくやりますが、懐の深い姿勢とは脚で三角形を作った姿勢を言います。腹トラしてボールを足元に収めたら、低姿勢を取り、背中押しを使いながら、この懐の深い三角形を模した姿勢を取ります。すると相手からボールが隠れるので左右のどちらの方向に行くかわからなくなります。

この姿勢から緑矢印の方向に行くと十中八九抜けます。もしそちらを先読みされてコースを埋められていたらクライフターンで紫矢印に行きます。これで左右の見合いを作ることが出来ました。

この姿勢の時なぜ、DFは後手を踏むのかについてはこんごやります。とりあえず、この形を練習してみてください。面白い結果が待っていますよ!!


  受け手の神通力

こんなに長く何を語ったかというと、投げ方の種類の少なさ、シンプルさに比べて、受け方の応用範囲の広さ、多様さは受け手の力量をもろに反映するということです。時には手押しを使わなければいけなかったり、懐を使ったり、ドリブルの種類も必要です。また視野の確保や浮き球の処理、パスの技術も大事になってきます。 これらを連続して成功させなければスローインからのプレーはつながっていきません。大変なことですよね。

これが僕が言う「神通力」という部分でセオリー化できない個人のオーラの強さみたいなものを選手の評価軸として提示したコトバです。「あいつには何やらせてもうまくいくよな」「やっぱトラれた、あいつの力じゃ無理か 」みたいなことって実際あるんです。それを神通力と読んでいます。スローインの受け手にはそれがモロに反映してきます。

だからって下手な人はずっと下手なままではないですよね。練習すればきっとうまくなります。なにかをきっかけにものすごく上達するということもままありますので、このエントリを参考にスローインの受け方と浮き球の処理の練習をもう一度確認してみてください。

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