footballhack: クロップの練習−ドルトムントのトランジショントレーニング

2013年9月1日

クロップの練習−ドルトムントのトランジショントレーニング






ドルトムントの監督ユルゲン・クロップは、今サッカー界に革命を起こそうとしています。バルセロナのようなパラダイムシフトではなく、現代サッカーの高速化を革命的に進めたという意味で偉大です。そのクロップが日々行っている練習が気になるひとが非常に多いと思うので一筆やってみることにしました。


きっかけはツイッターです。クロップの練習を紹介している英語ブログのリツが回ってきたので見てみたんです。そしたらこれは日本語訳したら需要あるなと思ってやってみようと思いました。

まず、クロップのドルトムントを理解するためには00年代以降に完成された4−4−2のゾーンディフェンスを完璧に理解しなければなりません。アリーゴ・サッキの4−4−2ではダメですよ、おっさんたち笑。あの時はオフサイドルールが今とは違ったので。ロナウジーニョ支持者も時代遅れですよ。あの時と今とではサイドハーフの役割がぜんぜん違いますから。

それで4−4−2を理解するには下の本を読んでみるといいと思います。(我ながらうまいセールスだぜ笑)


 【容量、値段】

タイトル: 4-4-2 ゾーンディフェンス セオリー編
ページ総数:255p
データ容量:5,3MB
価格:¥481
利用可能端末:Kindle Paperwhite、Kindle Fire、Kindle Fire HD、Kindle for iPad、Kindle for iPod Touch、Kindle for iPhone、Kindle for Android
ASIN: B00DZ366V6


4−4−2のゾーンディフェンスの本、まだ読んでない方がいたらぜひ読んでみてください。読むのに骨が折れるように難解にしときましたんで笑。ただし図が多いのでパラパラめくって何を言ってるかなぁこれはとか想像してもらえるだけでも楽しめると思います。前編カラーが魅力の電子書籍!!


それで件の英語ブログがこれです。



Jurgen Klopp – Dortmund Defensive Transition Exercise



なんかアクセスしづらいのでそんなときは「gary coach」でぐぐってください。

じゃあ重要なとこだけ解説行きます。三段落目から



セットアップ

始めのパートはハーフラインから前後に9mの位置から開始する。ピッチを縦に4分割し、それぞれのゾーンに一人づつOFとDFを立たせて対面させる。マッチアップを明確にしたうえで、2名のOFをタッチラインに加える。GKをDF側のゴールに待機させ、コーチがOF側の背後で サーバーとなる

Dortmund def1

始めのパートは4人のDFと対面する4人のOFにわかれる。2人のサイドのOFは参加しない。すべての選手は各自のゾーンに位置する。攻撃手は横パスを回す。対面するOFの足元にパスが着くたびに、DFはアプローチする。対面するOFが横パスをしボールが離れたら、DFは後退しもともといたDFラインに戻る。プレスと横ずれとカバーリングと予測力を養うシンプルなトレーニングである。予測とはパッサーの体の向きから次のプレーを予測するためのヒントを得る作業だ。これにより実際の試合でより速くプレッシャーを掛け、攻撃手の選択肢を削ぐことが出来るようになる。(下図参照)

Dortmund def2

コーチの合図(任意のタイミングでかな?)で6対4のゲーム形式に移る。始めのパートで使われたボールは放置する。コーチがサイドの選手にパスを出した瞬間に、OFはゴールに向かって攻撃を開始する。(下図参照)

Dortmund def3

DFはまず撤退する。しかしバランスを保つ。ビデオを見ればドルトムントの4バックが"中に絞る”ように守備をしていることがわかるだろう。これは全体をコンパクトにして相手チームをサイドに追いやることを意味する。また、リトリートが重要なのも事実であるが、彼らはペナルティボックス内まで撤退することはしない。これが非常に重要なコーチングポイントだ。なぜならペナ内まで押し込まれてしまったら、ボールに全くプレッシャーを掛けられないし、クロスなど放り込みに対して脆弱(ぜいじゃく)になる。

Dortmund def4

個の力としての守備力が重要なのは当たり前であるが、同時に組織的な守備力も大事である。一人の集中が切れることは、特にトップレベルでは、失点を直接に意味する。コミュニケーションが大事だ。しかし8万人が歓声を上げるスタジアム内では全員が同じ波長でプレーすることも必要だろう。責任感と個人個人の役割を養生する規律は、常にトップスピードの環境下でのトレーニングでしか培われない。クロップが行う実際の試合に近似した練習と近年のドルトムントの成功は決して偶然の一致ではないだろう。





終了


はいグーグル先生はすごいですね~。もういずれサッカーの戦術もグーグルが考えてくれんじゃないかってくらい。嘘です。自分で意訳しました汗。疲れた
 
でここからはこの人が説明しきれなかった部分を説明します。 まず最初のセッションでカバーリングに入るとき元いたラインに戻るって書いてますけど、これは動画を見ればわかるように、近接したマーカーに戻るようにしています。それでディアゴナーレを組み直すんですね。この辺りは常識です。

次に、クロップの独創的な点は、2つの練習を組み合わせている点です。特に縦へのランニングが必要なパートと横移動が必要なパートをつなげているところに独創性があります。

ここで言うと、コーチがサイドの選手にパスを出す瞬間ですね。この時選手は今まで直面していた状況を捨てて、新しい局面に対応しなければなりません。ボールが変わるっていうのも面白いです。

そして6対4に7対4に移行します。ここではシュートまで行くようにトレーニングしますが、成功率は35%くらいでしょう(シュートまで行く確率)。ゴールする確率は13〜18%くらいでしょう。それぐらい攻撃側はうまくいきません。3人数的有利でも4人でゴール前に蓋をすれば大抵守れてしまうからです。

守備ラインはペナアークを基準に引いて、そこで壁を作るように組織化します。図でやりますね。

クロップの練習 001

ここまでは撤退してOKというルールを作ります。そしてこのへんでボールを奪えるような意思統一をします。

例えばサイドにボールを出されたら

クロップの練習 002

基本はこのように対応します。SBは位置は内、向きは外を守ります。基本1対2の守備になるのでそこは距離感などをうまくつかめるように指導してください。同CBは真横カバーリングでヘルプに行きつつ中央にも気を配ります。ゾーナルディフェンスのお約束です。

クロップの練習 003

相手のWGがボールを持ったら縦切りで中に誘導しつつ、CBは真横カバーリングにつきます。中央は2枚で死守し、逆サイは捨てます。とにかくゴール前に人が不足しないように注意しながら、としつつもCBは臨機応変にサイドにヘルプに出たりバックステップでクロスのコースに入るようにしてください。

ドルトムントを見ていると、ゾーンで攻撃手2人の間に立ちながら、パサーの動作を見て次のプレーを予測するのがものすごい上手いんです。まずほとんど読みをはずされないというか、ことごとくダマされないんですよね。その秘密がこの練習に隠されているんじゃないかと勘ぐっています。やはりゲーム体力の高さが判断力を増すんですかね。めっちゃ走りながら頭に余裕がある状態というか。

誰か毎日練習できる方はこの練習を試して、数カ月後にフィードバックしてください。よろしくお願いします。


2 件のコメント:

  1. footballhackさんは主にどのポジションでプレーされてるのですか?

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    1. 主にボランチですがSB、CBもやります。SHはできますが攻撃は下手です。

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