footballhack: FWの動き4 ゴール前の嗅覚とは【第二回】

2012年7月15日

FWの動き4 ゴール前の嗅覚とは【第二回】

前回はシュートのこぼれ球とクロスから得点を狙う動きをやりました。

では要旨をおさらい。

  ゴールへの嗅覚に優れたFWが見せる動き一覧

  1. 味方の放ったシュートに対してファーサイドに詰める
  2. クロスに対してマーカーの前に出て合わせる
  3. クロスに対してGKとDFの間に飛び出す
  4. クロスに対してファーストターゲットの影に飛び込む
  5. ロングフィードに対してキッカーとターゲットマンを結ぶ延長線上のスペースに飛び出す
  6. マーカーの視野を切ってパスを受ける
  7. オフサイドポジションに潜りその後オンサイドポジションを回復する
  8. CBとCBの間に入る
  9. 位相をずらして二次攻撃、三次攻撃の流れに侵入する
1〜4まで説明したところですね。

次はロングボールです




  ロングフィードに対してスキップスルーパスを狙う

後方からのロングボールも得点のチャンスです。キックアンドラッシュ戦法は小学校低学年から大人のチームまであらゆる年代で、また世界中で普遍的に見られる戦術です。これを極めずしてパスサッカーなぞ出来るか!?というのが管理人のサッカー観です。

例えば左図のように後方から浮き球のロングパスを送る雰囲気が瞬間的に漂ったとします。

次の瞬間、丸で囲まれた選手に求められる動き方は下図のとおりです。





「差金の動き」で見たようにDFラインと駆け引きしながら裏へ抜け出ると効果的です。

 これはスキップスルーパスと言って「重なったらひとつ飛ばす」 「クサビとスルーパスの見合い」に書いたように、DFが一瞬棒立ちして球際を見てしまう現象を利用する戦術です。

プロでもない限り、大抵ロングフィードはポストマンの前でバウンドし、ポストマンとマーカーのもつれ合う間を抜けてきて、裏のスペースに転がり込みます。

この動きの精度を増していくと、チェフとドログバだけで怖い攻撃ができるチェルシーのようになります。

小学生のうちから徹底したい動きですね。





  プルアウェイでマーカーの視野を切る


これはご存知のとおりです。基本的にはボールホルダーが前向きでフリーかそれに近い状態の時発揮できる戦術です。

説明は野暮なので省略。代わりに下に動画を準備したので見てください。







よく誤解されているのは、“動きの質が高いこと=プルアウェイでマーカーの視野を切れること”っていう解釈です。これは本末転倒なんですね。なぜかというと、“動きの質を高めて”マークを外したところに味方がパスを出せなければ意味ないからです。

動きの質はパスの出し手の技量に制約を受けます。また、動きの質はボールホルダー周辺の状況によって規定されます。つまりパサーがパスを出せるところに動くことが質を高めることにつながり、その逆はないのです。ボールが一番大事ってことです。

考え方としては、味方の出せるパスの種類の中で最も実現しそうなものを想定し、そこから逆算して動きを組み立てるのです。

プルアウェイしなければという強迫観念に駆られ、自分勝手に動き出してパスを要求するようでは二流です。






 この問題はマーカーに注意を払うか、パサーに注意を払うかという点に収束します。僕はパサーを見たほうが良いと考えています。

寿人先生のFW講座を下に貼ったんで見てみてください。






  オフサイドポジションからオンサイドポジションに回復する


これはFWの宿命とも言うべきオフサイドラインとの駆け引きです。

裏抜けを図ったが、パスが出てこない。こんな時に、気落ちせずに次のチャンスに向かって飄々とポジションを取り直すことがゴールチャンスにつながります。


順をおって説明しますと、まず、味方からスルーパスを受けれるタイミングで裏抜けします。

しかしここではDFがきっちりマークについており、パサーが成功率が低いと判断。スルーパスを断念します。
パサーは横パス等でボールを保持し、次の機会を伺います。裏抜けしたFWはオフサイドポジションに取り残されます。FWのマーカーはオフサイドラインへの高い意識で、穴を埋めるべく再びDFラインの中に戻っていきます。

ゾーン・ディフェンス、ラインディフェンスではオフサイドポジションに飛び出したFWを見捨てることで、その選手を一時的にゲームから消します。いわゆる“死んでいる”状態です。

当然このままではFWはプレーに関与できません。

味方が攻撃を横に広げている間にゆったりと戻り、オンサイドポジションを回復することで、一旦死んでいたFWが生き還り再びプレーに関与できるようになります。

このときにDFとDFの間に戻るのがミソです。

この際、DF陣は見捨てたFWへのマーク意識が薄れており、オンサイドポジションに戻ったFWをフリーにさせる傾向があります!

横パス寄せパス等でパサーに時間を与えた瞬間、再び裏抜けのチャンスが巡ってきます。





この動き方は、味方が後方で横パスを3本以上つなげる力量がないと成立しません。なかなか難しいですが、この動きは同時に相手のDFラインを下げさせ、バイタルエリアを広げる効果もあるので、良いパサーがそろっているチームでは積極的に狙ってみるといいかもしれません。




  CBとCBの間に入る

ゾーン・ディフェンスでは各選手がゾーンを受持ち、マークを受け渡すことを基本にしています。ですから、FWはDFとDFの間に入ることでマークを外すことができます。

具体的には2パターンあって以下のとおりです。

例えばクロスを狙うとき、ゴール前で1対2だったとします。

このとき自分についているマーカーから離れてもう一人のDFに近づくようにするとマークが外れることがあります。
いくらゾーン・ディフェンスとは言え、ゴール前でマークを受け渡すのはご法度なのですが、MFゾーンとDFゾーンでプレーの切り替えができない選手が多く、ペナ内でも無意識にマークを受渡してしまうDFが散見されます。

チャンスは一瞬です。この一瞬の判断ミスを咎めることでゴールは生まれます。
次はスルーパスの受け方です。

これも同様にDF陣のスキマに立ちます。

ポイントはパスが出そうな瞬間までマークに遭うことです。


パスが数本繋がり、ボールホルダーがフリーになるとDFラインはどうしてもボールウォッチャーになります。

この隙にCBとCBの間にポジションを移動します。

パサー上手ければ十分に裏を取れます。
パスを受けてから振り向いてすぐ加速出来るコントロールも大事です。









上記の例のうち、上のケースは以下の動画の1:59で見ることができます




  位相をずらして二次攻撃、三次攻撃の流れに侵入する

これは難しいのでまた今度書きます。マクロつなぎ論 フィボナッチ数列に要旨は書いてあります。




  まとめ

一言でまとめるなら、"FWの動きの質はボールの行方を予測する能力によって決まる” です。

常日頃から「次はここに来そうだな」とか「あいつならここに出すだろう」という意識を持ち続けることで、深い観察眼が身につき、観察の蓄積が必勝パターンを導き出し、それらを統合して繋げて連続的に発揮できるように継続すれば、得点の可能性は高まっていくと思います。

それから予測力に加えて、準備力が大事です。準備動作、準備動作のための準備動作、・・・・と先手先手を打ってDFを翻弄することで、最終的に有利なポジション取りをすることができます。佐藤寿人先生が「FWの動き出しは理詰めだ」 と言ってることからわかるように、本能的な闘争心に加えて、理性や知性も重要だと思うのです。

僕はFWじゃないので自分の体験からなにかを言える立場じゃありませんし、今回は端から見たFW観を無責任投下したまでですので、間違い等あれば諸手を上げて受け入れます。


sukegofutという方が素晴らしい動画をアップロードしてくださいましたので転載しときます。



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