footballhack: FWの動き3 ゴールへの嗅覚とは【第一回】

2012年7月14日

FWの動き3 ゴールへの嗅覚とは【第一回】

「点を獲れるFWは決まってゴールへの嗅覚に優れています。」とよく言われますがゴールへの嗅覚って一体何なんぞや?コーチに聞いても先輩に聞いても元プロや名の知れた監督に聞いても“ゴールへの嗅覚は感覚的なもの”とか“先天的なもの”という説明で終わりになることが多いと思います。

そんな説明じゃ納得行かない!って僕も常々思っていました。

そこで今回は微力ながらゴールへの嗅覚という言葉の全容に迫って行きたいと思います。始めに断っておくと、この記事でFWに求められる動きの全てを説明できるとは僕は到底思ってません。僕の経験に基づいてゴールチャンスが生まれるパターンを類型し、そこから導き出されるFWの動きを抽出して、「“ゴールへの嗅覚”が鋭い選手はこういう動きをする」と言い切ってみたいと思います。


  ゴールへの嗅覚に優れたFWが見せる動き一覧

では早速結論を
  1. 味方の放ったシュートに対してファーサイドに詰める
  2. クロスに対してマーカーの前に出て合わせる
  3. クロスに対してGKとDFの間に飛び出す
  4. クロスに対してファーストターゲットの影に飛び込む
  5. ロングフィードに対してキッカーとターゲットマンを結ぶ延長線上のスペースに飛び出す
  6. マーカーの視野を切ってパスを受ける
  7. オフサイドポジションに潜りその後オンサイドポジションを回復する
  8. CBとCBの間に入る
  9. 位相をずらして二次攻撃、三次攻撃の流れに侵入する
それでは上記の一つ一つのポイントを詳しく見ていきましょう




  ファーサイドのこぼれ球に詰める

昔からあるセオリーです。「シュートは対角(ファーサイド)へ打て!」。

今でも言われますが、昨今のストライカー達は常にファーを狙っているわけではありません。彼らは状況に合わせてシュートコースを変更しています。

シュートのセオリーとはGKとの駆け引きです。あるいはDFのシュートブロックを抜く技術です。


そのへんのことは右のシュートのセオリーにまとめたのでご一読を。

では話を戻しまして。なぜファーサイドを狙うと良いかというと、上の図にも示した通り、こぼれ球が“生きて”くるからです。ニアサイドへのシュートはGKに弾かれた場合ゴールラインを割る確率が高くなります。反対にファーサイドを狙うシュートはGKに弾かれてゴール正面にこぼれる可能性が高くなります。


したがってこぼれ球を狙う際は、ゴール中央に引いた線に対して、シューターと対称に位置どると良いです。そこからシュートのタイミングに合わせて飛び出しこぼれ球に反応するという算段です。

FWを務めていてこの動きができない選手は、FWを辞めた方がいいと言えるほど基本事項です。

またボールの行方を予測する能力を培うための導入として最も適した動きが、この“こぼれ球を狙う動き”です。幼少期から是非徹底を!










  クロスに対してファーストターゲットになる

ファーストターゲットとはゴールに最も近い選手のことを言います。あるいはゴール前にいる選手の中で一番ボールに近い選手、一般的にはニアサイドを狙う選手とも言えます。

ファーストターゲットの動きの質がクロスプレーの成否を決めます。つまりボールに関われるかどうかが大事ということです。

基本的にはマーカーの前へ出るか後ろに回りこんでDFとGKの間を狙うかの2択です。

このとき気をつけたいのは、クロッサーの姿勢クロッサーのマーカーの体勢を見ることです。クロスの球種は上記の2点で決まるからです。





センスのいい選手ならクロッサー周辺の状況を見て、クロスが来るポイントを事前に知ることができます。これは練習、試合を通した経験から培われるもので、ここで詳細に説明するのにはスペースが足りなすぎます。また、ミキッチと佐藤寿人のように長年ともにプレーする選手同士なら互いの特徴を知るので息を合わせることができます。練習で試合観戦で、よく観察しましょう。

クロッサーのマーカーの体勢とクロスの球種の相関性に関しては右の記事を参考に。
クロスのトレンド3

近頃はマークを外す動きが取り沙汰されていますが、クロスで一番重要なのはボールに対して反応することであり、マークを外せるか否かははっきり言って二の次です。まずはクロスがゴロなのか浮き球なのか、どの方向に来るかを上記の二点に注目して観察し、ボールがきそうなところに飛び込むのが先決です。マーカーの視野を切ったり、背後に隠れるプルアウェイと呼ばれる動きは、クロスに反応するための準備動作として考えるべきです。はじめのうちは、ボールに対して反応さえ出来れば準備動作は必要ありません。準備動作が必要になってくるのはDFのレベルが上がってくる15歳以降の話です。

クロスに対してDFより先に触る行動には、恐怖心の克服が不可欠です。“ゴール前は戦場”という言葉通り、サッカーでもっともフィジカルコンタクトが発生するエリアがペナルティエリアです。この中でマーカーと体をぶつけあい、先んじてボールに触れるには勇気というメンタル的要素が欠かせません。ゴールへの嗅覚は先天的なものだとよく言われるのは、この勇気を持っているかどうかが個人の性格に起因するからだと思われます。

クロスが蹴られた瞬間から3歩が大事です。早すぎる動き出しは自分がプレーするスペースを潰してしまいます。動き出すのはボールが蹴られた瞬間からで間に合います。焦らず観察し勇気を持って飛び込んでください。



  クロスに対してセカンドターゲットになる

ファーストターゲットがセンスや勇気、観察力といった個人の能力に依存するのに対して、このセカンドターゲットになることはより理詰めでアプローチできます。

セカンドターゲットとはファーストターゲットの背後からファーストターゲットの動き出しに合わせて彼の影に飛び込む動きを指します。イメージは以下に動画を用意してあるのでそれを見てください。



セカンドターゲットの基本はファーストターゲットを観察することです。そして、ファーストターゲットが触れずにスルーしたクロスに対して心の準備を万全にして機敏に反応することです。

基本的には下図のようにファーストターゲットの近くにポジションを取り、ファーストターゲットの動きに合わせて、クロサーとファーストターゲットの延長線上のスペースに飛び込むようにします。

ファーストターゲットがDFの前で合わせる場合(ニアサイドに走りこむ場合)、セカンドターゲットはDFの隙間に入り込んでクロスのおこぼれを狙います。

この形は頻出です。 クロスの滞空中にどれだけ移動できるかが鍵です。










Euro2012ではクリスティアーノが魅せてくれました。

Portugal vs Czech - Ronaldo Goal from Lionel Soheb on Vimeo.

あとこれの6:00とか。

EURO 2012 TOP 10 Goals & Best Moment from Park on Vimeo.






同様にファーストターゲットがGKとDFラインの間を狙ったら、それに続いて裏へ飛び込みます。

この形からだと中央への折り返しも考慮にいれるといいでしょう。






以上の形にはひとつの前提条件があります。それはファーストターゲットが良い動き出しをしていることです。ファーストターゲットの動きの質が高ければ、必然的にボールはファーストターゲットの近くを通過します。この抜けてくるボールに対してDFは注意力が緩慢になりマークを緩める傾向にあります。そこでセカンドターゲットが確信を持って飛び込めばうまくフリーでシュートチャンスを迎えられるはずです。






クロスのセオリー・新セオリー(the theories of corss) from silkyskill on Vimeo.

長くなったのでひとまずここまで

次回→FWの動き4 ゴールへの嗅覚とは【第二回】

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